大腸(直腸・S状結腸)がん
【1】大腸がんとは
大腸がんは大腸粘膜のあるところではどこからでもできますが、日本人ではS状結腸と直腸が、癌のできやすい部位です。年齢別にみた大腸がんの罹患率は、50歳代付近から増加し始め、高齢になるほど高くなります。
大腸がんでは、直系の親族に同じ病気の人がいるという家族歴は、リスク要因になります。特に、家族性大腸腺腫症と遺伝性非ポリポーシス性大腸がん家系は、確立した大腸がんのリスク要因とされています。生活習慣では、過体重と肥満で結腸癌リスクが高くなることが確実とされています。
【2】症状

大腸がんの自覚症状は、大腸のどこに、どの程度の癌ができるかによって違います。癌に特徴的な症状はなく、良性疾患でも癌と類似した症状がおきます。血便、便が細くなる、残便感、腹痛、下痢と便秘の繰り返しなど排便に関する症状が多く、これらはS状結腸や直腸に発生した癌に起きやすい症状です。中でも血便の頻度が高く、これは癌の中心が潰瘍となり出血がおきるためです。痔と勘違いして受診が遅れることもありますので注意しましょう。
【3】治療
| 内視鏡的ポリープ切除術 (ポリペクトミー) |
茎のあるポリープを認めた場合、スコープを通してスネアとよばれるループ状の細いワイヤーを、茎の部分に引っかけて締めて高周波電流で焼き切ります。 |
| 内視鏡的粘膜切除術 (EMR) |
平坦なポリープや腫瘍の場合は、ワイヤーがかかりにくいため、病変の下層部に生理食塩水などを注入して周辺の粘膜を浮き上がらせ、広い範囲の粘膜を焼き切ります。 |
| 内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) |
腫瘍が大きい場合、最近では、主に胃において行われているESD(内視鏡的粘膜下層剥離術:病変を電気メスで徐々にはぎ取る方法)を応用することにより、大きな腫瘍も一括で切除できるようになってきています。 |
2.手術
(1)結腸がんの手術
大腸がんの治療は外科療法が基本で、早期癌の場合でも手術が必要になる場合があります。結腸癌の場合、切除する結腸の量が多くても、術後の機能障害はほとんどおこりません。リンパ節郭清(かくせい)と呼ばれるリンパ節の切除とともに結腸切除術が行われます。
(2)直腸がんの手術
直腸の周囲には、前立腺・膀胱・子宮・卵巣等の臓器や、膀胱機能・性機能を司る神経があります。近年、術後の生活の質を高めるという観点から、可能な限りこれら神経の温存を目的とした手術が行われるようになっています。しかし、癌を根治させるために、やむなくこれら神経を損傷せざるをえない場合には、排尿機能や性機能が影響される可能性もあります。癌の位置や広がりに応じて、慎重に手術法を検討する必要があります。
| 自律神経温存術 | 直腸癌の進行の度合いや、排尿機能と性機能を支配する自律神経繊維を手術中に確認し、必要に応じて選択的に自律神経を温存する手術法です。癌を徹底的に切除しながら、同時に進行度に応じて神経を残す方法です。全部の神経が残せれば、手術前と同様な機能、つまり男性では射精、勃起機能を完全に温存することができます。やや進んだ癌では、勃起機能のみを残す手術法もあります。 |
| 肛門括約筋温存術 | 近年では直腸癌の8割は人工肛門を避ける手術ができるようになりました。自動吻合器という筒状の機械を使って、癌の切除後に短くなった直腸端と結腸の先端を縫合し、本来の肛門からの排便を可能にする手術法です。肛門から4cm以上、肛門と直腸との境界から2cm以上離れていれば、自然肛門を温存することが可能です。この手術と自律神経温存術を併用すれば、術後の機能障害をかなり軽減することが可能となりました。 |
| 局所切除 | 直早期癌や大きな腺腫に採用される手術法です。開腹手術ではなく、肛門からと仙骨近くの皮膚、直腸を切開し病変に到達する方法です。術後に、放射線療法や化学療法を追加する場合もあります。 |
| 人工肛門 | 肛門に近い直腸癌や肛門にできた癌では、人工肛門を造設する直腸切断術という手術を行わなければなりません。また、高齢者は肛門括約筋の力が低下しており、無理して括約筋温存術を採用すれば術後の排便コントロールが難しい場合もあるので、多くの医師が人工肛門による排便管理を勧めています。 |
(3)腹腔鏡手術
癌が盲腸、上行結腸やS状結腸、上部直腸に位置し、内視鏡的治療が困難な大きなポリープや早期癌が対象と考えられています。
手術方法は炭酸ガスで腹部を膨らませて、腹腔鏡を腹部の中に入れその画像を見ながら小さな孔から器具を入れて手術を行います。
3.放射線療法
(1)補助放射線療法
切除が可能な直腸癌を対象とします。通常、高エネルギーX線を用いて、5〜6週間かけて放射線を身体の外から照射します。化学療法の適応がある場合には、化学療法と併用して行われることが標準的です。手術中に腹部の中だけに放射線を照射する術中照射という方法を用いることもあります。
(2)緩和的放射線療法
骨盤内の腫瘍による痛みや出血などの症状の緩和に放射線療法は効果的です。全身状態や症状の程度によって、2〜4週間などの短期間で治療することもあります。また、骨転移による痛み、脳転移による神経症状などを改善する目的でも放射線療法は一般的に行われます。
(3)放射線療法の副作用
放射線療法の副作用は、主には放射線が照射されている部位におこります。そのため治療している部位により副作用は異なります。また、副作用には治療期間中のものと、治療が終了してから数ヶ月〜数年後におこりうる副作用があります。
治療期間中におこる副作用として、全身倦怠感、嘔気、嘔吐、食欲低下、下痢、肛門痛、頻尿、排尿時痛、皮膚炎、会陰部皮膚炎(粘膜炎)、白血球減少などの症状が出る可能性があります。以上の副作用の程度には個人差があり、ほとんど副作用の出ない人も強めに副作用が出る人もいます。治療後数ヶ月してからおこりうる副作用として、出血や炎症など腸管や膀胱などに影響が出ることがあります。
4.化学療法
大腸がんの抗癌剤治療は、進行癌の手術後に再発予防を目的とした補助化学療法と、根治目的の手術が不可能な進行癌、または再発癌に対する生存期間の延長及び生活の質の向上を目的とした化学療法とがあります。大腸がんに対して有効かつ現時点で国内にて承認されている抗癌剤は、フルオロウラシル(5- FU)+ロイコボリン(国内ではアイソボリン)、イリノテカン(CPT-11)、オキサリプラチン、UFT/LV、UFT、S-1などです。
(1)術後補助化学療法
手術により癌を切除できた場合でも、リンパ節転移があった場合に、再発率が高くなることが知られています。このような場合、手術を行った後に化学療法を行うことで再発を予防する、あるいは、再発までの期間を延長できることがわかっています。このような治療を、術後補助化学療法といいます。
(2)化学療法
根治的な手術が不可能な場合には、化学療法の適応になります。大腸がんの場合、化学療法のみで完治することはまれですが、臓器機能が保たれている人では、化学療法を行わない場合と比較して、化学療法を行ったほうが、生存期間を延長させることがわかっています。
- 抗がん剤の副作用
- 抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を及ぼします。特に髪の毛、口や消化管などの粘膜、骨髄など新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、その結果として、脱毛、口内炎、下痢、吐き気が起こったり、白血球や血小板の数が少なくなることがあります。それ以外には、心臓への影響として動悸や不整脈が、また肝臓や腎臓に障害が出ることもあります。副作用が著しい場合には、治療薬の変更や治療の中断などを検討することもあります。
【4】改善率向上のために
日本癌学会でその抗がん作用が発表された注目の治療法とは?
がんに対する治療は、がん細胞のみならず、同時に正常な細胞も障害を受けることは避けられませんので、副作用・後遺症が伴うことがあります。また、標準治療だけでは太刀打ちできないことも残念ながら多くあります。
そこで、標準治療を補い改善率の向上とがん治療による副作用の軽減を目指し、当NPO法人が全国の提携医師の協力を得て研究を重ねた結果、最も有効である治療法として「3種の褐藻抽出成分」を利用した「新フコイダン療法」の併用に辿り着きました。
第55回日本癌学会でその抗がん作用が発表され、注目を浴びた褐藻抽出成分「フコイダン」や、より重要な働きをする褐藻抽出成分(フコキサンチン・フコサリシレイト)の発見によりがん治療の改善が難しいとされてきた中期以降の大腸がんにも、大きな期待が持てるようになりました。
現在、「3種の褐藻抽出成分」が、がんに対して以下の作用があると解明されています。
- 1.がんに対するアポトーシス作用
- 2.COX-2選択阻害作用
- 3.免疫力回復作用
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